心房細動などによる脳梗塞や動脈硬化による心筋梗塞などを予防するためには、血を固まりにくくする抗血栓薬の服用が必要ですが、抗血栓薬を飲んでいるときには血が止まりにくい状態になっているため、ケガに注意が必要です。特に、頭をケガしたときに、最初は普通に会話が出来て一見軽症に見えても急速に意識障害が進行して深刻な状態に陥ることがあるため、より注意する必要があります。
では、最も多い頭のケガの原因は何だと思いますか?
65歳以上の方で頭をケガした重症者の原因は交通事故よりも転倒・転落のほうが多く、半分以上を占めているという調査結果1) があります。そのため、抗血栓薬を飲んでいる患者さんとそのご家族は、転倒・転落のリスクおよび万一、転倒・転落してしまったときの適切な対処法について知っておくことが大切です。
こうしたことから、日本脳神経外科学会、日本救急医学会、日本脳神経外傷学会、日本脳卒中学会、日本循環器学会、日本脳卒中協会では、転倒・転落による高齢者の頭部外傷(特に抗血栓薬内服者)の危険性を患者さんやそのご家族に理解してもらうとともに、適切な対応について医療関係者へ啓発活動を行う「“Think FAST (シンクファスト)” campaign」を行っています。
- 1)日本頭部外傷データバンク
抗血栓薬を飲んでいる患者さんとそのご家族に
知っていただきたいことがあります
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抗血栓薬がどのような薬かを理解した上で飲み続けること
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転んだりして頭をぶつけたときは、ご本人が少しでもおかしいと思ったらすぐに医療機関に行きましょう。
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自分が飲んでいる抗血栓薬に中和剤があるかあらかじめ医師に確認し、飲んでいる薬の名前を自分自身や家族が覚えておくようにしましょう。